光学設計とその周辺、そしてたまに全く関係ないやつ

学んだことを書き留めていきたいと思いますが、ありふれたことを書いても人類の進歩に貢献しないので、専門的な事柄をメインにしたいと思います。なお私の専門とは光学設計とか画像処理とかです。

SynopsysとAnsysが買収合意

昨年末, SynopsysがAnsysを買収を目指していると報じられましたが, 残念ながら(?)結局予想通り買収に合意したようです. これから規制当局の審査なりが始まるのでまだ正式に合併したという状況ではないですが, 2025年上半期に合併を目指しているようです. 買収の目的として要はエレキに強いSynopsysとメカに強いAnsysシナジーを出す, というようなことがプレゼン資料にあります.
https://synopsysansys.transactionfacts.com/
シノプシス、ソフトウエア開発のアンシスを買収へ-350億ドル - Bloomberg

アナウンスページを見ても光学のことは特に触れられていませんので, 今後光学業界にどういう影響が出るかは注視するしかない. お隣のメカCADの産業ではかつてCATIAを開発していたダッソーSolidworks社も買収し, 産業毎に売り分けるようなことをしているらしいですが, 光学では同じことが起こるのかどうか. 実際はどちらの会社にとっても光学事業部は小さい部門ですので, 最終的にはどちらかが(または両方が)スピンオフという形になるのではと予想.
しかし両社とも特に日本では最近も会社の体制も変わり中の人の入れ替わりもあり, サポートページもライセンス形態も大きく変わったばかりですが, また変わることになるのでしょうか? これ以上値段が上がることにはならないでもらいたいものです.

参考までに以下Redditでもユーザーたちからの阿鼻叫喚が聞こえますね.
https://www.reddit.com/r/Optics/comments/198b2xa/synopsys_acquires_ansys_its_official/

SynopsysがAnsys買収を計画している?

年の瀬が迫る中, 光学設計者にとっては衝撃的なニュースが発表されました. SynopsysがAnsysの買収を計画しているというものです.
https://www.reuters.com/markets/deals/ansys-explores-sale-amid-takeover-interest-sources-2023-12-22/

実際に買収をしたというわけではなく, あくまでその計画をしている段階で, またSynopsys以外にもAnsys買収を検討している企業がいくつかあるという状況. もともとSynopsysの主要ビジネスである半導体設計分野では両社は提携もしていたわけですが,しかしもしこれが実現すれば光学設計ソフトウェア業界は果たしてどうなるのやら.
両社にとって光学設計ソフトビジネスは決して大きなビジネスではないので, この買収を実現するために悪い意味で組織が変更にならないとよいのですが.

光学設計は難しいのか?

いろんなエンジニアリングの分野がありますが, その中でも光学設計は難しいと言われることがあります. 果たして本当にそうでしょうか?

一つ確実なのは特にソフトウェアなどと比べると学習するリソースが様々な意味で限られるため学びづらさのようなものがあるのは感じます. 設計ソフトの値段が高いとか書籍など資料が限られ, どうしてもOJTが中心になりがちなため自分で学習を進められづらいわけです.
エンジニアの絶対数も少ないためギルド的なコミュニティも規模は小さいです.

光学設計の理論そのものが難解なのか, という点では確かにいろいろ数式が登場するため難しいといえば難しいのでしょうが, そこはどのエンジニアリングの分野も個別のトピックによってピンキリという感じもします. ただ幾何学的なことが苦手な人にとっては難しいのは恐らくそう. また現象が抽象的なためそこが難しく感じるかもしれません. 高校物理の力学, 波動, 熱, 電磁気で波動が一番苦手だった方も多いと思いますがそういう話です(テストで点が取れるかどうかはまた別).

逆に楽だなと感じられるかもしれないのは, 特に理論の枠組みが幾何光学に限られているならほかの分野に比べると技術的な進歩はそこまで早くは無いため, ソフトウェアのように日々全く新しいことを学ぶというよりは, 既存の技術を深めるということが重要な気もしますので, そこが楽だと感じられるかもしれません.