輝度のわかっている面光源から照度への変換はよく行われるので計算例を挙げたい。
1)円形状の面光源がつくる照度
以下の図の通り,半径a,輝度Lの面光源が距離z離れた点Pに作る照度Eを求めよう。
ある微小面要素が作る照度dEを考えていけばよいので、以下の記事の式(4)を微分形式で表すと、
eikonal.hatenablog.jp
となり、微小面とPのなす角度がの場合であり、さらに極座標で表すと、、また受光面との距離rはとなるため、式(1)は以下の(2)と表される。
これを式(3)のように面範囲で積分すれば求めるべき照度がわかる。
またであるため、となり、またLは位置によらず一定とすると、式(3)は以下の式(4)となる。は光源の端の位置からの角度、つまりから決まるである。
と変換できるため、最終的な計算結果は以下の通りに表される。
ここでもし光源のサイズaが受光面との距離zより十分小さいとき、つまりが十分小さくとなる場合、式(5)から
となる。Sは光源の面積である。この結果がおもしろいのは距離zの2乗に照度が反比例する、つまり距離が遠い領域では距離2乗則が面光源でも近似的に成立することを表しているからである.
また逆に光源のサイズが非常に大きい場合、つまりとなるような状況では照度は単に式(7)のとおり.
このように非常に大きい光源は現実的ではないように思えるが、俗にいう積分球の照度というのはこれに近い.
2)一般的な状況
より一般的な状況として, 以下の図のような状況を考えてみます. P1(x1,y1)のある面に輝度Lの光源があった際に, 別の面にあるP2(x2,y2)につくる照度を求めてみます. 2つの面がz離れており, P1とP2を結ぶ線が各面の法線となす角度をそれぞれとします.
2点の距離Rはそれぞれの座標から計算できますので, この時P2の照度は以下の式に従います. xa,xb,ya,ybはP1の面の光源の範囲です.
3)さらに一般的な状況
さらに一般的な状況として以下の通り光源面と受光面が別の方向を向いている場合を考えてみます. この図のように光源面に座標軸の原点があると計算がしやすいです.
この時P1とP2間の距離Rはより一般的にとなります.
光源面がxy平面に対してだけ傾いているため, 光源のある面の微小面積要素は単純にdxdyとはできず, 以下の式で表します.
この式(9)を使うと, 照度は
となります. この式には直接は照度面のxyz軸に対する傾きは現れていませんが実際に角度を計算する際には必要になってきます.
内容としては以上. 実際に照明計算をする際は便利な設計ソフトを使うことが多いと思いますが, 理論的には上記のような計算を行えばよいということは頭の片隅にあるといいのではないでしょうか.