材料を加工をする際に補正(ターゲット)寸法という考え方があります. 厚み5±0.1mmの金属板を製造したい場合, 5.0mmジャストを狙った加工するのではなく, あえて狙いとしてやや厚め, 例えば5.02mmをターゲットして加工するようなことがあります. これはもし何かあったときに厚めなら追加工することで5.00mmに修正することが出来る一方, その逆は物理的に難しいからです.
このように指定された寸法に対して, 製造上の理由であえて別の寸法を目標にすることをChatGPT曰くどうやら補正寸法とかターゲット寸法と呼ぶらしいです. このように製造上の理由を考慮して加工することは光学素子の製造でもよくありますので, 今回簡単な例を紹介します.
レンズ, フィルター厚み
これは先ほどの金属板の例と同じです. あえて実際の厚みはやや厚めにすること(されていること)はあります.
曲率
曲率についてもあえて, 指定された設計値ではなく若干値の違うターゲット値を設定することがあります. これは製造したレンズを原器に押し付けて曲率誤差を見るときに, 完全に同じ曲率だと面が接し, 面に傷などがつく可能性があるからです. 以下の図ではこれを防ぐために, あえて本来の設計値とは別の曲率で球面を作り, 光束の通らないレンズの端のみが接するようにさせています. 製造レンズが凸面ならあえて原器より緩くなりますし, 凹面なら曲率が強くなります. この状態で検査をするとき, ニュートンリングが0ではなく, ある本数出ている状態が狙い通りの面になっていると考えます.

実際は素子そのものにターゲット寸法を設定するよりは, むしろ原器と検査用の原器を分けて, その検査用原器の曲率を指定値からずらし, レンズ自体は設計値どおりになるようにすることもあります.
熱膨張を考慮した金型設計
特にプラスチック素子のように射出成型で製造する場合, 高温の膨張した状態で金型に押し込まれるため, 冷めて常温に戻ると金型自体の寸法からずれます.
先ほどの曲率の件と同じく, 熱膨張が起きることを見越して, 金型の寸法自体を最終的に合うように設計することが多いはずですので, この手のことは加工屋と確認したほうが良いでしょう.