2023-01-01から1年間の記事一覧
年の瀬が迫る中, 光学設計者にとっては衝撃的なニュースが発表されました. SynopsysがAnsysの買収を計画しているというものです. https://www.reuters.com/markets/deals/ansys-explores-sale-amid-takeover-interest-sources-2023-12-22/実際に買収をしたと…
いろんなエンジニアリングの分野がありますが, その中でも光学設計は難しいと言われることがあります. 果たして本当にそうでしょうか?一つ確実なのは特にソフトウェアなどと比べると学習するリソースが様々な意味で限られるため学びづらさのようなものがある…
今回は別の測光学の応用としていわゆる積分球の照度分布と光源からファイバーへの結合効率を取り上げてみます. 積分球 積分球とは言わずもがな以下のページにあるように内部が高い反射性の材料で覆われた球状の物にいくつかの小さな開口が設けられているもの…
社会人になったときは屈折率やアッベ数の標準公差はぐらいとよく聞きました. Zemaxの公差解析エディターでもEdmund OpticsのCommercialグレードはこの値です.ただ最近知ったというわけではないけど, 技術が向上したのか現在は以下のページのように少なくとも…
レンズの体積を求める機会があったので記事にもまとめます.以下のような平凸レンズを考えましょう. 球がかけた状態を球欠(きゅうけつ, spherical segment)と呼ぶらしい*1. 結論を言うと球欠については以下の公式がある. 曲率半径が登場しないことはやや意外…
以下の左図はベクトル場(y,x)のプロットです. 右図はこの図を45°回転させた様子です(表示範囲の違いのせいで見づらいですが). この記事ではこんな感じでベクトル場を回転させて表示させる方法を紹介します. 記事にするほどのものではないでしょ, と思うかも…
光学設計ソフトはSynopsisにせよZemaxにせよ, 有名どころはだいたいアメリカの会社です. ドイツの会社も少しありますけど, シェアの面でも基本的にはアメリカの企業の存在感は圧倒的です. 別に光学設計ソフトに限った話ではないですが, やはりアメリカはソフ…
マシンビジョンのようにカメラを使って距離的な測量をするのはイメージングの重要なアプリケーションの1つです. 精度よく行うためにはカメラ自体のイメージング系がどういった幾何的なパラメーターを持っているかを調べる必要がありますが, その目的のカメラ…
Sonyが4000mm f/0.3のレンズを作った?という情報を見つけました.Some fun: Sony just developed a new 4000mm f/0.3 Full Frame E-mount lens! – sonyalpharumorsSonyがこういうビジネスをするのもあまり想像できなかったですが, どうやらジョークニュースの…
センサの画素ピッチが大きい場合や, 画素自体が大きければレンズとセンサー合わせたトータルのMTF特性は劣化するはずです. 今回はそのセンサのスペックがどれだけMTFを変化させるのかを扱います. 基本的なフーリエ解析の知識は前提とします.以下の図の通り, …
もうGW, 世間では新入社員が研修を終えてぼちぼち業務を始める時期です.昔まだ設計ソフトを使い始めた時以下のダイアグラム図を見て, ベスト像面に設定しているのにデフォーカスしている, と困ったことがありました. ありがちな話ですがこれは口径端の光線を…
これまでいくつかの記事で特に回折格子を用いた分光器の説明をしてきました. といっても波面収差を考慮しない理想的な光学系の話がメインです.今回はより詳細に光学設計者らしく回折格子分光光学系の収差設計について考えていきたいと思います. 分光器に限ら…
最近こんなニュースが一部界隈で話題となっているよう. 職業病の一種かもしれないけど, 私もレンズ等は当然のことながら写真撮影に使うアンブレラのようなディフューザーも正直素手で触るのは拒否感があるし実際しない.https://news.yahoo.co.jp/articles/8b…
前回の記事ではチェルニタナー光学系の設計方法について扱いました. eikonal.hatenablog.jp 今回は他の細かいトピックを扱ってみます. スループット 前回の記事では触れませんでした, 光学系がもつスループット(集光効率), どれだけ分光器光学系が光を集光で…
5次収差の応用として球面収差の解析をします.以下の記事でBuchdahl-Rimmer係数を使って収差係数からスポット分布を得るようなことをしていましたが, 今回はこの係数を使って球面収差の光線追跡の結果と収差係数から得られる結果を比較し, どこまで高次収差係…
前回5次収差の具体的な分布を取り上げました. 今回は応用としてダブルガウスの特徴的な収差を解析したいと思います. eikonal.hatenablog.jp 今回用意したサンプル設計は以下の通りです. 適当に用意しました. レンズ図とスポットダイアグラムは以下の通りにな…
ポリクロメーターの光学的な基本レイアウトをまとめてみます.1次光学設計という観点(つまり幾何収差は考慮しない)で分光器光学系の基本的な設計方法,特にチェルニタナータイプの設計例をまとめてみようと思います. 基本 改めて回折格子の式のおさらいをしま…
キャリアとして, 職業として光学設計者ってどんな感じ?について自分なりの考えをまとめました.むしろまとまった文章というよりは百問百答のようなものに近いかも. 割と適当に書きましたのでその点ご注意ください. バックグラウンド 周りを見渡すと大学時代…
前回の以下の記事で何本か分光器に関して記事を書くと宣言しつつ結局半年近く更新できませんでした... 新年にもなったので気を取り直して取り込もうと思います. eikonal.hatenablog.jpさてその前回の記事でも取り上げましたが, 回折格子の幾何光学的な扱いか…