5次収差の応用として球面収差の解析をします.
以下の記事でBuchdahl-Rimmer係数を使って収差係数からスポット分布を得るようなことをしていましたが, 今回はこの係数を使って球面収差の光線追跡の結果と収差係数から得られる結果を比較し, どこまで高次収差係数の有用性があるか考えてみたいと思います.
eikonal.hatenablog.jp
さてOpticStudioにはFIFTHORD.zosというこの表式で収差係数を計算するマクロがあるのですが、このマクロは球面収差については7次の係数も計算してくれるようです.
この球面収差の項を式にすると以下の通りとなります.
このが7次の球面収差に該当する係数となっており, 手持ちの文献では7次の項については本当にこういう式なのか確認ができませんが(例えばではなくとなっているのかもなど), そういったところはおいておいて,,,進めます!
以下のF値の小さい光学系を用意します. 基はUS patent 2701982です. F値1.1, 焦点距離100mm, 波長d線, 像面は近軸位置に設定しています.
またBuchdahl-Rimmer係数はでした.
この値を式に代入し, プロットすると以下の通りとなります.
5次, 7次を加えていくと光線追跡の結果に近づきます. ただそれでも瞳端の強いカーブは完全には再現できていません. 恐らく9次または更なる次数が必要な気がしますが, ひとまずこれが高次収差理論の現実です.
瞳位置0.75, つまりF値1.4ぐらいまでは7次収差係数で十分光線追跡の結果と合いますので, そういう用途では応用できるかもしれません.
前回に引き続き消化不良な内容でしたが, ひとまずここまで.