光学設計とその周辺、そしてたまに全く関係ないやつ

学んだことを書き留めていきたいと思いますが、ありふれたことを書いても人類の進歩に貢献しないので、専門的な事柄をメインにしたいと思います。なお私の専門とは光学設計とか画像処理とかです。

2021-01-01から1年間の記事一覧

5次の収差2 (2/2)

前回の以下の記事で5次の収差を導出したが導出するだけして特に説明もしなかったのでその内容を本記事で取り上げよう. eikonal.hatenablog.jp 3次収差 5次収差 Buchdahl-Rimmer 係数 参考文献 3次収差 今回も復習をかねて先に3次収差から説明をします. それ…

光学CADの代理店がいろいろ変わってる

最近codev含めsynopsis社の製品の日本代理店がサイバネットシステム社からsynopsisの日本支社に変わった. 直販することでよりユーザーに近い立場に立ちたいのだろうとぐらいに思っていたが, サイバネットシステム社が別に扱っているANSYSが子会社化したspeos…

ゴニオメーターの座標系

LEDの配光などを測定する際にゴニオメーターを使う機会がよくあります. ゴニオメーターには配光の角度座標のタイプというものがありタイプABCの3つがあるのですが, ここらへんを詳しく扱っている日本語の文献は見ない気がしますので, 今回はこの配光測定の際…

薄肉密着2枚レンズの設計 (Hartingの式)

Harting(ハルチング)の式というのがありまして, これは薄肉近似のもと2枚の単レンズが密着しているとき(接合ではなくあくまで分離)に3次の範囲の球面収差とコマ収差, そして軸上色収差が理論的に0となる解の計算式があります. これを利用することで実際の有…

5次の収差1 (1/2)

ある日ふと5次の収差をネットで調べようと思ったら意外と日本語での情報が少なかったので、せっかくならということで今回記事として取り上げようと思いました 波面収差展開 3次収差 5次収差 波面収差展開 最初に波面収差について簡単にまとめたいと思います.…

Visual Studio上でPython用のC++のDLLのデバッグ設定方法

Pythonは使いやすい言語だけどスクリプト言語特有の遅さというのはどうしてもあるため, 部分的にC++で作成したDLLを呼び出して処理させることをよくするのですが, このときVisual StudioでDLLのデバッグをする方法を調べてたので忘備録もかねて記事にまとめ…

光学設計の仕事論

大学で産業的な光学を学ぶ機会がなく, IT産業のように情報が多いわけでもない光学設計の仕事はなかなか一般的な事情を知る機会は少ない. 実際本ブログの著者も提示される設計を日々こなし, 気づけばそこそこの年数が経っているのだが, 自分の設計の進め方が…

測光量の計算例2 (レンズによる像面照度)

測光量の計算の応用として、輝度Lの物体をレンズで軸上に集光させたときの像面の照度Eを求めてみます. またその議論をベースに軸外ではcos の4乗で照度が低下することも説明します. 軸上の場合 先に結論をいうと, 像面照度は光源の輝度に比例しレンズF値の2…

測光量の計算例1 (輝度から照度への具体的な計算)

輝度のわかっている面光源から照度への変換はよく行われるので計算例を挙げたい。 1)円形状の面光源がつくる照度 以下の図の通り,半径a,輝度Lの面光源が距離z離れた点Pに作る照度Eを求めよう。 ある微小面要素が作る照度dEを考えていけばよいので、以下の記…

RCWA(FMM)のフリーライブラリーS4の紹介

RCWA(Rigorous Coupled-Wave Analysis)またはFMM(Fourier Modal Method)とはマクスウェル方程式を厳密に解く電磁場解析の手法の1つで, 回折格子のような周期性のある構造のみ解析できるが,FDTDに比べ高速に解析できるのが特徴です.有償のソフトウェアももち…

std::vectorで2次元の配列を定義するときは、vector<Type> v(n, d)としてはいけないという話

C++のstd::vectorを使って例えば2次元のint型の動的配列を定義するとき、vector<int> v(n, m)ではなくvector<vector<int>> vv(n, vector<int>(m))としないといけないぞ、ということです。 vector v(n, m)はあくまでmの値で初期化したn個の要素数をも…