前回の以下の記事で5次の収差を導出したが導出するだけして特に説明もしなかったのでその内容を本記事で取り上げよう.
eikonal.hatenablog.jp
3次収差
今回も復習をかねて先に3次収差から説明をします.
それぞれの収差が実際に画像としてどのように表れるかを考えると、球面収差の場合、波面が通過する瞳面上の半径をρとすると, 収差係数Wは無視して,
つまり、ρの 3乗に比例した半径をもつ円形状になります.
コマ収差の場合、天下り的ですが
と書き下せます. つまりyz面でy=2yρ^2の位置に半径yρ^2に比例した半径を持つ円形状として現れることとなります. ここでyρ^2をρ_0とすると,円中心が2ρ_0、半径がρ_0となり, 以下の左図の通り直角三角形となりますので, 原点からのこの円への広がり角が60度と求められます.

非点収差・像面湾曲の場合、横収差であらわすときは一緒にして考えることができる. Δy, Δzそれぞれ以下の式となるので,
これより以下の楕円式が得られる.
特別な場合としてもし非点収差がなくが0の場合, 画角2乗, 瞳座標に比例する円形状となります.
また像面湾曲がなくが0の場合, Δyのみが値を持ち, この方向つまりメリジオナルのみに線状のボケが発生します. つまりサジタル面に焦点が合っている状況ですね.
また最後にの場合は逆にメリジオナル面に焦点が合っている状況です.
歪曲は瞳座標とは関係なく, 単純に像高の3乗に比例するということのみです.
あえてコメントするならあくまで理想像位置からのずれが理想像位置そのものの3乗に比例するということで, 例えばその理想像位置をyとすると,実際の位置y'というのは
ということです. また歪曲を表す量としてという理想像との比で表すことも多いです. この場合代入すると
となりますので,像高の2乗に比例します. 差として表すと像高の3乗, 比として表すと2乗に比例することに注意.
5次収差
5次収差の場合も同様に計算していけます.
5次の球面収差はもうわかると思いますが, Rの5乗を半径とする円の形状となります.
コマ収差の場合は少し計算が複雑です. 計算を簡単にするためにとしたとき, まず Δyは
またΔzは
となりますので, 以下の通りy=3yρ^4の位置に半径2yρ^4にある円形状と表されます.
3次コマ収差の解析と同様の解析からとすると, 上図から斜辺
, 垂線長さ
となりますので見開き角2θ=83.6°の形状となります.
非点収差と像面湾曲, 歪曲は3次収差と同じように理解できると思います.
最後に5次特有の項である斜め球面収差・楕円コマですが, サジタル斜め球面収差とメリジオナル楕円コマ収差については画角依存性を瞳座標の依存性は3次と全く一緒です.
メリジオナル楕円コマ収差についてはΔy, Δzをy^2で割ると, 全く3次のコマ収差と同じです. サジタル楕円コマ収差はΔyのみ発生します.
さて,複雑なのがメリジオナル斜め球面収差ですが, 先ほどの5次収差と同様と置きます. すると,
となります. 割ときれいな形になったのでひょっとしたら名前が付いている有名な曲線なのかもしれませんが, もしご存じでしたらどなたか教えてください<(_ _)>
そしてこれをグラフにすると以下のような面白い形になります.

Buchdahl-Rimmer 係数
像面でのΔy, ΔzはBuchdahl-Rimmer 係数と呼ばれる表し方で定めている文献もある. その式を表すと以下の通りになります. 細かい係数は違うけど「レンズ設計法」もこの表現なのでこのほうがなじみのある方も多いのでは. またこの係数を出力するマクロがZemaxにはあるので利用しやすいかもしれないです.
これで前回の記事と合わせて最低限の基礎的な説明はできた気もするので, 応用としてダブルガウスレンズの高次収差を解析してみようと思いましたが, また力尽きたので別記事にて.
参考文献
Sasián, J. (2013). Introduction to aberrations in optical imaging systems. Cambridge University Press.
松居 吉哉. 復刊 レンズ設計法. 共立出版.