以前の記事では測光量の計算は基本的に輝度・光度→光束・照度への換算が主と言いましたが、今回はその意味でちょっとマイナーなトピックである輝度から光度への変換を取り上げます。
早速ですが、輝度の定義式に光度の定義式I=dΦ/dωが含まれていますので、ある微小面積dSの面光源が輝度Lを持つときの面法線に対してθ方向の光度dIを換算すると以下の式の通り表されます。
よって、有限の面積S0をもつ面光源の場合、その光度Iは、
となります。
例えば近似的に面積S0にわたって一定の輝度L0、そしてほぼ面法線の方向の場合(θ≈0)、I=L0S0と、光度は輝度値と面積の単純な積で表されます。またこの場合逆に光度を面積で割れば光度から輝度を求めることもできます。
ここで1点注意が必要なのは、本来光度とは点光源に対して、そして輝度というのは面光源とそれぞれ完全に別の概念に対して定義されるものでした。輝度と光度の変換は数式上では単純な話ですが、その点は少し注意が必要かもしれないです。
さてこの輝度と光度の変換ですが、実際にどのような場合に必要となるのでしょうか?例えばLEDなどの微小な発光素子による照度などを求める際に、そのLED発光面の形状(例えば円とか矩形とか)も考慮して求めたい場合は面として考えるため輝度を使って考える必要があります。ただし、LEDのカタログには輝度ではなく光度しか記載されていないことがあるため、その時に近似的に輝度に換算するために今回の内容が使えるかもしれないですね。